豪商になった気分で料亭文化を体験!
憧れのお座敷で酒田舞娘の踊りを楽しむ(山形・酒田)

江戸時代、京都との交易の拠点として繁栄した酒田。物資とともに、雅やかな京文化も運ばれて、この地に根付いてきました。
そのひとつが料亭文化。富を成した豪商たちは、絢爛豪華な調度品を設えた料亭に足を運び、贅沢な料理とお座敷遊びを楽しんでいたと言われています。
その雰囲気が1800円で味わえる場所があると聞いて、訪ねてみました。

元は料亭、江戸時代からの伝統を守る「相馬樓」


かつての花街の一角、印象的な朱色の塀と茅葺き屋根の門。思わず写真に撮りたくなる建物こそ、その場所である相馬樓。江戸時代には「相馬屋」という料亭として栄えたところです。
ここ相馬樓では2階の大広間で、舞娘さんの踊りや食事を楽しむことができるのです。

舞娘さんの演舞は、毎週水曜とお盆・年末年始を除く毎日午後2時〜2時30分。
建物内をじっくり見て回るなら、所要時間は舞娘さんの演舞鑑賞約30分を含めて90分ほどが目安。その間、まるで江戸時代にタイムスリップしたような感覚を堪能できます。

門を入ると、扇型の石畳が玄関へと導いてくれます。
暖簾をくぐれば、そこはまばゆい金と朱の世界。そして、舞娘さんのお出迎えも! 最初からテンションが上がります。

入館料1000円ですが、今回は演舞チケット1800円(入館、見学、演舞観賞、舞娘さんと記念撮影込。中学生から大学生1000円、小学生以下無料)を購入してみました。
いよいよ贅を尽くして建てられたという建物の奥へ。時間が止まったようなワクワク、ドキドキの異世界に突入です。

ガラス戸や障子の桟、襖まで見応えのある空間


朱色の毛氈(もうせん)が敷かれた廊下を歩いて行くと、茶室や客間、蔵座敷、蔵画廊、客間などが順に見られるようになっています。

部屋ごとに欄間(らんま)や障子の桟(さん)、ガラス戸などのデザインが違い、造りは各所で「はあ〜、ほお〜、うわ〜」との感嘆の声が思わず漏れてしまうほど細やか。
そして調度品の設えも違い、さまざまな発見があります。

もちろん、蔵画廊にある書画や古美術品なども見事。横山大観や円山應擧、富岡鐵齋などの掛け軸や絵画が展示されています。
雛の蔵には相馬樓オリジナルの現代雛や全国から集められた土人形なども。

さらに竹久夢二美術館では、肉筆画10点を始め、版画や写真、遺品のカメラなどを見ることができます。

お座敷で酒田舞娘の演舞に酔う

(相馬樓様よりご提供)

午後2時が近づいたら、2階の大広間へ。
大広間には、紅花染めの商売繁盛(半畳)の畳が敷き詰められています。2000年の改修の際に新しくされた華やかな襖は演舞時に見られないので、先に鑑賞しておくのもいいでしょう。舞娘が舞っている姿が描かれています。

そして2時になると、2人の酒田舞娘と三味線を弾く地方(じかた)のお姐さんが登場。いよいよ演舞の始まりです。

この日の演目は、庄内の民謡から「庄内おばこ」と「酒田甚句」、そして月替わりで季節の長唄など、合わせて3曲。
艶やかな酒田花柳界の踊りを20分ほど観ることができます。

「庄内おばこ」ではしなやかに愛らしく、「酒田甚句」では振袖もヒラヒラと舞うほどに力強く、時には手ぬぐいや扇などが用いられ、振付にもいろいろな変化が。
美しい舞娘さんの踊りに見惚れるだけではなく、飽きのこないユニークな構成でした。

演舞中の撮影は原則として禁止なので、演舞の写真は相馬樓の提供ですが、終了後に舞娘さんと存分に記念撮影ができるというサービスが付いています。

より料亭感覚を楽しめる食事とセットのプランも


舞娘さんの演舞は、予約をすれば、食事とセットで楽しむこともできます。
その場合、食事は12時から、演舞は12時30分から。
舞娘御膳のメニューは入館料・舞娘演舞観賞料込みで舞娘懐石5500円など。
より料亭のお座敷遊び感覚を体験したいという人にオススメです。

京都の舞妓さんとは異なり、酒田では「舞娘」になります。
違いはかんざしや帯の結び方。その他は同様で、今でも夜はお座敷に呼ばれて宴会に華を添えています。

舞娘はいわば、芸妓の見習い。料亭時代に厨房だったスペースが稽古場となっていて、そこで日々、踊りの稽古を受けています。
最初の3カ月間で、踊りや立ち居振る舞いなどをみっちりと教えられるとか。あとは現場に出て、新しい曲の振り付けなども、直に覚えているといいます。

1階には「くつろぎ処」もあり、抹茶とお菓子のセット600円やコーヒー400円などをいただくことも。舞娘さんが、お茶を運んできてくれます。

相馬樓は1894(明治27)年10月の酒田地震による大火で、蔵以外はすべて焼失してしまったそうですが、その後、残った土蔵を取り囲んで再建。
1995年に一度は料亭としての幕を閉じたのですが、翌年に国の登録有形文化財に指定され、改修を加えて2000年に観光施設として復活しました。
2008年には竹久夢二美術館も併設され、現在、新しい文化を融合させた「舞娘茶屋・相馬樓」となって、歴史ある建物と酒田花柳界の伝統を守り続けています。

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住所 山形県酒田市日吉町1-2-20 map
電話 0234-21-2310
交通 JR羽越本線酒田駅より徒歩20分またはタクシーで約5分(690円)
または酒田駅から庄内交通 酒田市内廻りAコースバス等5分(210円)、寿町下車徒歩2分
車 日本海東北自動車道酒田ICより約17分
入館料 大人1000円、大学・高校・中学生500円、小学生以下無料
営業時間 10時〜17時(最終入館16時30分)
定休日 水曜、お盆、年末年始
駐車場 15台/無料
公式HP https://www.somaro.net/

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