そば王国の山形県。
地元の人たちにはこんなに強いこだわりがあった!

山形の食べ物といえば、フルーツ、お米、芋煮など。
しかし、じつは山形県はそばの生産量も全国でトップクラスなのです。
おいしい空気に、おいしい水。栽培から始まり、そば打ちの技術、そばを愛する県民性が山形のそばを支えています。
県内の各地域には「そば街道」と呼ばれるそば屋の続くエリアがあり、県外からも多くの人たちが集まってきます。今回の記事では、そんな麺好きの心をとらえてやまない、山形のおいしいそばを紹介します。

なぜ山形のそばはこんなにおいしいのか?

秋になると、“米どころ”山形県の田んぼは、見渡すかぎり黄金色の平原と化します。雲間から日が差した時などは、はっとするほど神々しい光景に息を呑むほどです。

そんな中に、ぽつん、ぽつんと目に鮮やかな白いお花畑。見たことはあっても気にとめたことのない方がほとんどかもしれません。この可憐な花を咲かせる植物こそが、「そば」なのです。

山形県は鳥海山や月山など、多くの山々が連なる山間部や盆地です。夏は日中が暑く、夜になると冷え込むという寒暖差に特徴があります。涼しい夜というのは植物にとってもいい環境で、昼に光合成で蓄えたエネルギーをため込み、ゆっくり休むことができます。そのため、山形の作物は栄養価が高く、味も濃いものばかり。そばもまた然りで、香り高く、甘みが強く育つと言われています。

一口に「そば」と言っても品種はさまざまです。主流となっているのは、山形独自に開発された「でわかおり」と、県北地域の在来種がルーツの「最上早生」。

「でわかおり」は大粒で香りがよく、喉ごしのすっきりした麺に仕上がるのが特徴です。一方の「最上早生」は、甘みがあってコシが強く、そば本来の風味が味わえます。どちらも人気の品種で、県内で生産されているそばの大半がこの二品種です。

その他にも、その地区特有の在来種が育てられているところもあり、鶴岡市の温海地域で受け継がれてきた“越沢三角そば”は、2016年に在来作物に認定されました。また、現在でも品種改良は盛んで、「山形Bw5号」という新品種が生まれました。まもなく「でわ宝」という愛称でデビューする予定です。

新品種を作ることも、在来種を守り続けることも、そう簡単にできることではありません。世代を超えて技術をつないでいく気力、体力が必要です。

山形のそばがおいしいのは、栽培に適した土地柄というだけではなく、おいしいそばを作ろう、守ろう、という人たちの不断の努力があってこそなのです。

お米もそばも大好きな山形県人


お米の名産地である山形県では、もちろん消費量も全国でトップクラス。しかし、じつはお米だけではなく、ラーメンやそばなど、麺類の消費量も全国で1、2位を争う麺好きが集まる県なのです。

うどん屋を見かけることは少なく、そば屋が圧倒的に多いのが山形の特徴。地元住民はもちろん、県外からもわざわざ食べにくる人がいるくらいにおいしいそば屋が点在しています。
山形のそばといえば「板そば」や「肉そば」を思い浮かべる方も多いでしょうが、それはごく一部です。県内の各地域、各店舗によってそばの文化は多種多様で、とても一言で言い尽くせるほど単純なものではありません。

更科そば、田舎そば、二八そば。つなぎに里芋を使うとか、山菜をふんだんにあしらった天ぷらとか、にしんの甘煮とか、特色はさまざま。来迎寺、三角そばなどの在来種もあります。

個性の豊かなそば屋さんがそろっているので、人それぞれに好みのお店があるようです。いざ大事な来客があったときにおもてなしをするために、雰囲気のいい古民家、隠れ家的なお店などに、さっと連れていけることが大人のたしなみ。

いいそば屋さんを知っているということが、山形県人にとっては一種のステータスにもなっているのです。

秋には新そば祭りでにぎわう


そばの収穫は10月から11月ころ。この季節になると、県内の至る所で新そば祭りが開催され、地元の人たちを中心にとれたてのそばの香りを楽しんでいます。

そば祭りでそばを打つのは、なにもプロのそば屋さんだけではありません。アマチュアのそば打ち名人たちも率先して腕を振るいます。
食べるだけでは飽き足らず、そば打ちを愛する人が多いのです。そば打ち体験をさせてくれるお店もあり、アマチュア主催のイベントが開かれることもあります。

そば粉をこね、平たくのばし、リズミカルに細く切っていく。これがなかなか楽しくて、はまってしまうようです。一家に一台……、とまでは言いませんが、けっこうな割合でそば打ちセットを所有している人がいます。

中には自宅にそば専用の厨房をつくって家族から呆れられたり、「プロ並み」とおだてられて調子に乗り、本物のそば屋さんに意見するようになる人も少なくないのだとか。

食べ方にこだわりをもつ人もいて、そばはやはり冷たくないとだめだと、よく言われます。冷たい水でしめた麺に、わさびやねぎを乗せ、出汁の効いたつゆに少しだけ浸してずるずるっとすする。これが一番そばの風味を楽しめる食べ方なのだそうです。

夏には庄内名物「麦きり」も食べたい


山形全域でそばは食べられますが、庄内地域には麦きりという名物もあります。
小麦粉を原料とする麺はうどんに似ていますが、配合の仕方や麺の細さなどにはやはり違いがあるようです。

基本的にはざるそばのように冷たくしめて、薬味とつゆで食べます。コシが強くもちもちとした弾力があり、つるつるとした喉ごしが夏の暑い日には最高です。

庄内地方では、そば派か麦きり派か、庶民を二分するほどに一般的な郷土食となっています。どちらも捨てがたいという人のために、両方食べられる合盛りを用意してくれるお店もあります。

そば、麦きり、ラーメンと、山形県は麺へのこだわりが強い地域です。
そんな山形県には、山形のそばに情熱をそそいできた製麺会社が数多くあります。

玉谷製麺所もそのひとつ。名峰月山の麓で、60年間そば作りの技術を磨き続けてきました。地元農家の方々と食文化を大切に守り、伝統とともに多彩な商品も生み出しています。ぜひ、本場山形のそばを味わってみてください。

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