日本三大古代布・しな織の里の新体験。シナの花エキスで石けんを作る!

鶴岡市温海地域の山間部に位置する関川地区。ここでは古くから日本三大古代布の一つである「しな織」が継承されており、国の伝統工芸品にも指定されています。
このしな織は、シナ(科)の木の皮を使用して作られていますが、毎年咲くシナの花はこれまで活用されていませんでした。
そんなシナの花に近年、とある成分が含まれていることが判明。これを活かした「石けん作り体験」ができると知り、行ってきました!

シナの木の皮から作るしな織は生活を支えた大切な生業だった

鶴岡市内から車で約40分。やってきたのは庄内を代表する温泉地・あつみ温泉街にある足湯カフェ「Chitto Motche(チットモッシェ)」。カフェで石けん作りなんて、女子の好奇心をくすぐります。

今回のシナの花BIO石けん作り体験を教えてくれるのは、「NPO法人自然体験温海コーディネット」の方々。温海(あつみ)地域で自然体験や環境教育プログラムの提供を行なっている、温海を知り尽くしたプロ集団です。

石けん作りに入る前に、まずは映像で関川地区でのしな織の歴史や、どのような工程を経て作られているかを学びます。シナの木の皮利用するしな織で作るしな布は、沖縄の芭蕉布、静岡の葛布と並んで日本三大古代布と呼ばれているそうです。

見ている時は驚きの連続。すべての手順が手仕事で、反物に織り上がるまでに22もの工程があり、仕上げまでには1年の歳月がかかるというのです!

聞いているだけで気の遠くなる作業ですが、しな織は関川地区の人々の生活を支えた大切な生業だったそうです。

映像を見終わった後は、実際にシナの木を見ながら、触りながら、樹皮のはぎ方などを丁寧に教えていただきました。そのおかげでたった20分の間に関川地区の魅力に一気に引き込まれてしまいました!

シナの花のエキスには女性にうれしいあの成分が!

この後はいよいよ、石けんに使われるシナの花と初めてのご対面。

夏に関川地区で収穫されたというシナの花は、丁寧に乾燥されており、鼻を近づけると甘い香りがします。

印象的だったのが、あまり見たことのない変わった形の葉。これは「苞(ほう)」と呼ばれ、果実が熟して落下する際に、プロペラの働きをしてより遠くに飛ぶようにできているそうです! まさかの植物の進化にも驚かされました。

摘む前の花を写真で見せていただくと、乾燥した姿とはまた違った可愛らしい印象です。

シナの木に関するお話をたくさん教えていただいてから、石けん作りのスタート!

まずは乾燥したシナの花を手で細かくしてお湯を注ぎ、シナの花エキスを抽出していきます。このエキスには高い抗酸化作用が含まれているとのことで、女性にとってはとてもありがたい成分です!

立ち上がる湯気からは、先ほど嗅いだ時よりもより甘く、なんだか落ち着いた気分にさせる香りがします。

数分置いた後、シナの花エキスを植物由来の石けん素地に少しずつ入れ、ある程度混ぜていき、後はとにかく手でこねる! ダマにならないように素早くこねる!

まるで料理をしているかのような感覚です。また、こねていくことで石けんが中和されていき、お肌への負担も減るそうです。勉強になりますねー。

こね終わったら、自分の好きなように成形していきます。数種類もの型やアイテムを用意してくれているので、さまざまな石けんの形が作れそうです!

早く使ってみたい! 世界に一つだけのオリジナルな石けん

最初は、手でお団子をつくるように石けんを丁寧に丸めていきます。

石けんのキレイな肌ざわりを見ると、まるでお餅のようです。以前、保育園の子どもたちと石けん作り体験をした際に、食べ物と見間違えてしまった子もいたのだとか!

そして、丸めた石けんに型をはめて、くりぬいていきます。型を取り出す時はもう真剣です。

キレイに取れた時のうれしさは、大人になってもテンションが上がるものだと気づきました。何個か作っていくうちに、こんな物が作りたい! あんな物も作りたい! と創作意欲がどんどんわいてきて、楽しくなってしまいます。

作り終えた石けんは、用意されているラッピング袋に封入。こちらもシートやテープを選べるので、最後までオリジナルのものを作ることができました。世界に一つだけの私の石けんです。

しかしこの石けん、これで完成ではないんです! 家に帰ったら、すぐに袋から取り出し、大きさによって2週間から3ヵ月間、日の当たらない場所でゆっくり乾燥させるのです。
こうすることで、よりお肌にやさしく、水場に置いても溶けにくい石けんができあがるそうです。

最後にカフェのドリンクを1杯飲みながら、創作で燃え上がった熱をクールダウン。我ながらうまくいったなと、ニヤニヤしながら作品を眺めておりました。

ただの石けん作り体験でなく、その土地で活用されてきた歴史や新たな取り組みを学びながら作った石けんは、より特別なものとなり、お風呂で使う日が来るのが楽しみになりました。

食事と一緒で、自分の体に直接触れるものだからこそ、良い素材で、その土地で採れたものを使いたいものです。あつみ温泉に立ち寄った際には、ぜひ一度「シナの花BIO石けん作り」を体験しみてください!

<データ>
体験場所/足湯カフェ Chitto Motche(チットモッシェ)
【住所】山形県鶴岡市湯温海甲170番地
【交通】JR羽越本線あつみ温泉駅より庄内交通バス温海営業所行きで6分(250円)、足湯あんべ湯前下車徒歩2分。または鶴岡駅より庄内交通バス温海営業所行きで1時間11分(1220円)、足湯あんべ湯前下車。
車 日本海東北自動車道あつみ温泉ICから5分。庄内空港から約50分
【駐車場】あり/無料
【問合せ先】NPO法人自然体験温海コーディネット
【電話】0235-64-1197
【予約】前日まで
【料金】2500円(税別)
料金に含まれるもの:体験料、材料費、ソフトドリンク代、傷害保険料
【対象年齢】4歳以上 ※未就学児の場合は保護者の方の同伴が必要
【URL】http://gb-atsumi.jp

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