おいしい野菜料理と絶品のお米。
農家民宿でゆったりとした時間を楽しむ

庄内には県内外から人気を集める農家レストランがたくさんあります。
そんな人気店のひとつが「やさいの荘の家庭料理 菜ぁ」。
「新鮮で多彩な野菜料理のランチが食べられる」「有機栽培なので安心」
「古民家を改装した雰囲気が好き」「座敷なので子供連れでも行きやすい」
などのように、ランチタイムが人気の理由はたくさんあるようですが、夕食や宿泊のほうも気になるところ。
今回は、のんびりとくつろげる時間を求めて、菜ぁの農家民宿に泊まってきました。

築130年を超える自宅を改装した農家民宿

庄内空港と鶴岡駅のちょうど中間あたりに位置する集落に、「やさいの荘の家庭料理 菜ぁ」が運営する「農家の宿 母家(おもや)」はあります。
見渡す限りの田んぼの中に、お店の看板を発見しました。

白壁の立派な蔵が正面に立ち、その奥側が本館です。
玄関を入ると、すぐに店主の小野寺さんが出迎えてくださいました。
菜ぁは山形県では有名な農家レストラン。その店主が意外な若さだったことに驚きましたが、物腰がやわらかく、いろいろと気づかいをしてくれる方でした。

まずは館内を案内してもらいます。
築130年超という歴史ある古民家ですが、手入れが行き届いていてとてもきれいです。御手洗いも風呂も改修済み。部屋もリフォームされていて、外泊や民宿が苦手な方でも、ゆっくりとくつろげそうです。

部屋にはポットとお茶、タオル、寝間着、使い捨て歯ブラシが用意されていて、すでに布団も敷かれていました。至れり尽くせりの親戚のうちに泊まりに来たようで、すぐにリラックスした気分になりました。

荷物を置いて、食堂を見せてもらいます。
こちらはまさに古民家といった雰囲気。昔あったという囲炉裏の煙で、柱と梁は黒く煤け、漆喰の白い壁と強いコントラストをなしています。

所々に意匠をこらした調度品が置かれ、アンティークな洋風のテーブルと椅子も並び、昔ながらのお座敷というよりは、明治時代の洋館を思わせます。

あちこち見て回るうちに、出汁の温かくてやさしい匂いが漂ってきました。かちゃかちゃと食器が触れ合う音も耳に心地いい。
食事が楽しみになってきました!

「白いごはんがメイン料理です!」。夕食はこだわりの逸品ばかり

夕食は、7品、8品、9品の3つのコースから選べます。一番人気である8品目の御膳をいただくことにしました。

多彩な料理が目の前に並べられ、早く食べたい気持ちと同時に、「これは何だ?」と料理についての興味も湧いてきます。
今回のメニューはこちらのラインナップでした。

  • 御野菜小鉢3点盛り
    じゃがいものナムル/庄内柿の白和え/白菜の味噌バター炒め
  • 里芋のキノコあんかけ
  • 手作りがんも
  • 庄内豚のしゃぶしゃぶ
  • さわらの味噌チーズ焼き
  • 旬のお刺身3点
  • 自家製有機栽培ひとめぼれ
  • おからのタルトケーキ

食事の用意を終えた小野寺さんが厨房から出てきて、メニューの説明をしてくださいました。

野菜や味噌など、素材の多くが菜ぁの自家製。その他の食材もほぼすべてが地元のものを使っています。
新鮮な食材の数々は、一口食べればどれも納得の味。畑にできる野菜を熟知する小野寺さんは、素材の味を生かす調理にこだわっています。

「調理法は畑が教えてくれます。どういう料理に使うかは、その日の野菜のコンディションで決めるんです」

一つひとつのメニューに、どんな野菜が使われているのかについても細かく教えてもらえるので、野菜の味わいがいっそう強く感じられました。
農産物が中心のメニューですが、肉や魚も楽しめます。

そして、なんといってもお米。農家の魂ともいえるお米は、「食事のメイン」とのこと!
折しも新米の季節であり、白く輝くごはんは確かに絶品でした。

口に入れた瞬間にお米の香りが広がり、一口噛みしめるごとに甘み、旨みが増していきます。店主が「メイン」と自負するのもうなずけます。おかずなしでも、ばくばく食べられました。

料理の心と食材を生かす精神を教えてくれた二人の“先生”

意外なほどのボリュームにお腹が満たされたところで、小野寺さんと談笑タイムです。

2013年のNIKKEIプラス1 で農園レストラン1位に選ばれるなど、各方面から評価の高い菜ぁですが、店主の小野寺さんは、実は料理人の経験はありませんでした。料理の勉強は、菜ぁを引き継ぐことになる7年ほど前に始めたのだそうです。

小野寺さんには、料理の先生が二人います。
一人は、菜ぁの創業者である小野寺さんのお母さん。子供のころから当たり前のように食べていたお母さんの料理が、いかにおいしかったかということに、大人になってから気が付きました。「ごはんの炊き方ひとつとっても母にはかなわない」と言います。

もう一人が鶴岡の有名レストラン、アル・ケッチァーノの奥田政行シェフ。食材の特性を最大限に生かして調理するという奥田シェフのスタイルを学んでいます。「野菜がメニューを教えてくれる」「畑から調理が始まっている」という小野寺さんの言葉からは、たしかに奥田イズムが感じられました。

そんな小野寺さんの履歴から入り、食や農業のことを中心にさまざまな話に花が咲きます。
農作業、ランチ、カフェと、とにかく目まぐるしい日々の中で、こうしてお客さんとゆっくり話しをできる夜の時間が、小野寺さんにとって何よりの楽しみなのだとか。

「庄内に遊びにきてくれた人たちには、ゆったりとした時間を過ごしてほしい」
とにかく皆さんに喜んでもらおうと、小野寺さんは気さくに話しかけ、気配りもしてくださいます。見た目だけではなく、心意気も男前な方でした。

土と緑に囲まれた農家の暮らしを、ありのまま体験できる場所

翌日、朝食を終えてから作業場や畑を案内していただきました。

まずは蔵の前にある作業小屋。ここにはお米を保管している保冷庫があります。一年分のお米がここに積まれているそうです。
意外と知られていないのが、お米にも鮮度があるということ。長期保存のためには玄米で貯蔵しておかなければならないし、精米したあとは冷蔵庫で保管するのが基本です。

続いて、自家製の有機肥料。農家では「ぼかし」と呼ばれています。有機栽培をしている菜ぁにはなくてはならない肥料です。米ぬかなどの農作物を原料にして、微生物の力で発酵させています。手をかざすと、ほんのり熱をもっていました。素人の目にはただの土に見えますが、中では微生物がしっかり働いているのです!

次はビニールハウスに向かいます。取材の時期は、夏野菜が終わって、冬の葉物野菜の準備をしているところでした。タイミングよく収穫時期に泊まれば、その場で野菜をもいで食べさせてくれるようです。
「鮮度がいいとどれだけ野菜の味が違うのかを知ってほしい」と小野寺さんは力説します。

作業小屋のトラクターもかっこよかったです! 真っ赤な作業車は泥に汚れ、まさに働く車といった出で立ち。みなぎる力強さを感じます。農繁期には早朝から作業に出かけることもあり、宿泊客もトラクターのエンジン音で目を覚ますのだとか。「農家の朝って早いんだなー」と、農家の暮らしぶりが少しわかるかもしれません。

季節によってさまざまな顔を見せてくれるのが農業の魅力のひとつ。だから、決まった農業体験は用意していません。
「その季節によって違う、ありのままの農家の生活を、皆さんで自分なりに発見し、楽しんでほしい」と小野寺さん。

土と緑を相手に自由に遊べる環境って、子供も大人も関係なく気持ちがいいものです。

2019年から「東屋カフェ ふぅ」も始まりました。すぐ目の前には田んぼ、遠くには緑の山々が眺められるオープンカフェです。Wi-Fiが使えるのもうれしいところ。
農村のおいしい空気を吸いながら、オープンな空間でパソコン作業ができます。小野寺さんにとっても作業スペースとなっている居心地のいい場所です。

のんびりと休日を過ごしたいご家族はぜひ宿泊を! 1日2組限定の民宿はとても静かです。誰にも邪魔されずに大切な時間が過ごせますよ。

<データ>
【住所】山形県鶴岡市福田甲41
【電話】0235-25-8694
【交通】付近にバス路線はないので、タクシーまたは車利用。タクシーはJR羽越本線鶴岡駅から約10分(1600円程度 )、庄内空港から約20分(3400円程度)
山形自動車道 鶴岡ICから約10分
【営業日】水、木、金、土、祝前日
(日、月、火、祝日の宿泊は休み)
*ランチの定休日は毎週火曜日・毎月第3水曜日
【宿泊料金】
大人(中学生以上)/1泊朝食付 6100円(税抜)
子供(小学生)/1泊朝食付 4700円(税抜)
※布団が必要な幼児は、一組1200円(税込)
【夕食料金】
料理7品/2230円コース(税抜)
料理8品/3240円コース(税抜)
料理9品/4170円コース(税抜)
【常備品】簡易パジャマ。バスタオル。フェイスタオル。シャンプー・リンス・石鹸。使い捨て歯ブラシ。
【駐車場】10台/無料
https://www.e-naa.com/

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