雑念が消え、体がほぐれていく。
龍神様を祀る善寳寺で初めての坐禅体験

庄内空港から車で約10分。鶴岡市大山地区に、6万坪もの広い敷地を有する「龍澤山 善寳寺」があります。
こちらでは定期的に「禅のつどい」という、初心者向けの坐禅会が開催されているそうです。坐禅と聞くと、ちょっと難しそうなイメージがありますが、前から一度はやってみたいと思っていました。今回、初心者対象の坐禅会というので、勇気を出して体験してきました!

今も健在の人面魚! 有形文化財が多数存在

鶴岡駅から湯野浜温泉方面行きのバスに乗ること約30分。善寳寺(ぜんぽうじ)は海の守護神・龍神様の寺院として、全国の漁業関係者から信仰を集めているお寺です。

寺の裏手には、二龍神が身を隠したと伝わる「貝喰の池」があり、1990年代にテレビや雑誌で話題となった、龍の化身といわれる“人面魚”が現在も池の中を泳いでいるそうです。

体験に伺った日はあいにくの雨でしたが、なぜかとても心地よい。
話を聞くと龍神様は雨乞いの神様でもあり、雨の日は龍神様の気配を近くに感じることができるので、とても縁起がよいとのことです。

境内に入ると、2015年に国指定の登録有形文化財となった五重塔の姿が見えてきます。
こちらの塔は日本で唯一、海の生き物すべてを供養する五重塔として、1893(明治26)年に建立されました。建立後、マグニチュード7.0の直下型地震や、3.11の東日本大震災に見舞われるも、ヒビ割れ一つなかったそうです。

塔の側面には十二支が3体×4面に彫刻されているので、ぜひ自分の干支を見つけてみましょう。辰年だけ、龍の姿では彫られていないそうなので、どんな姿をしているのか探してみてください。

山門を抜けるとちょっとした難関、96段の石段が待ち構えます。
その両脇には樹齢約450~500年の立派な杉の大木がそびえ立っています。

右手側にゆるやかな階段も用意されていますが、参拝する前の“修行”だと思ってぜひ挑戦してみましょう。ちなみに、石段の数の覚え方「クロウ(96)して上る」

初心者でも安心の坐禅会


無事、石段を上りきり会場に到着。いよいよ初めての坐禅体験が始まります。
ストレッチ30分・坐禅30分・茶話会30分の、初心者でも参加しやすい体験です。

最初は体についてのお話とストレッチの時間。驚いたのが骨の数。
私たち人間の骨の数は約206本(個人差あり)と言われています。
そのうちの半分以上、両手54本・両足52本の計106本もの骨が手足にあるので、ものを作るなど、たくさんの器用なことができるのです。

しかし、その分、手足に意識が行きやすくなり、肩こりなど、体の不調が起きやすくなるというわけです。それをふまえて、体をほぐしていく骨ストレッチに入ります。簡単な動きで徐々に体がほぐれていくのが感じられます。

次に坐禅に入っていきます。
坐禅と聞くと、姿勢が崩れると肩をバシッと叩かれるイメージがありますが、そういうことはないのでご安心を。

まずは座り方から。お手本は赤ちゃんなのだそう。
この座り方が中々難しいですが、無理をしない方法を教えてもらえますし、足の悪い方でもイスを使った坐禅ができるそうです。

明かりを落とし、部屋から見える枯山水と禅庭を望みながら、坐禅をしていきます。
こちらの枯山水は「心」の文字を表現しているそうです。

坐禅をしていても、最初はなかなか落ち着かなかったものの、善寳寺の空気も相まって徐々に雑念がなくなっていく感覚が心地よく感じました。

531の表情!圧巻の五百羅漢像


坐禅終了後、いつもなら茶話会の予定だそうですが、この日は特別拝観期間中の「五百羅漢堂」を見学することができました。

こちらも2015年に国指定の登録有形文化財に指定されています。寄進者は北前船で財を成した商人で、北海道の漁業で栄えた豪商や、北前船の繁栄を感じる貴重な文化的遺産です。

五百羅漢とは、釈迦が亡くなった後、釈迦の教えを後世に伝えるために集まった500人の弟子達のこと。ここにある羅漢像はすべて木造で531体あり、顔の作りや表情、ポーズまで、同じものは一切ありません。

かつて写真のない時代に、亡くなった肉親に似た顔の羅漢像を500体の中から見つけて手を合わせたと言われています。
160年以上も前のものとは思えないほど鮮やかな色合いと豊かな表情に、つい目を奪われてしまいます。(五百羅漢堂の特別拝観は、2019年は11月24日まで)。

すべての体験を終了すると、体験前に感じていたモヤモヤした感情がなくなり体が軽くなった感覚になりました。

普段意識しないと向き合えない、体の使い方や自分と見つめあう時間。善寳寺という空間ならではの特別な体験です。

善寳寺では、このほかにも、お寺に宿泊して朝一番のご祈祷を受ける「参籠(宿泊)祈祷」(夕食・朝食・泊りでのご祈祷は要予約)や、1泊2日禅寺修行体験など、さまざまな体験プランが用意されています。ちょっとした心の悩みがあるなら、坐禅体験で体を整えてみてはいかがでしょうか。

〈データ〉
【住所】山形県鶴岡市下川字関根100 map
【電話】0235-33-3303
【交通】JR羽越本線鶴岡駅から庄内交通バス善宝寺経由湯野浜温泉行きで34分(660円)、善宝寺下車すぐ。
車 庄内空港から約10分
「禅のつどい」
【期間】毎月第4土曜日
【時間】午後6時~午後7時30分
【内容】ストレッチ30分・坐禅30分・茶話会30分
【料金】300円
【備考】他にも毎月4種類の坐禅会を開催。
【HP】http://www.zenpouji.jp/
「五百羅漢堂特別拝観」
【期間】2019年9月14日(土)~11月24日(日)
【時間】午前9時~午後3時(午後3時30分閉館)
【拝観料】500円
【備考】他にも毎月4種類の坐禅会を開催。
2019年スケジュールリンク→ http://www.zenpouji.jp/wp/archives/1676
変更や未定の部分に関してはホームページやFacebookをご参照ください。
【HP】http://www.zenpouji.jp/

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