白鳥の飛来と共にやってくる冬。寒い日にはあったかくて、おいしいご飯を頂くに限ります。
庄内の冬は、見逃せない食が目白押し。旨さが身に染みる、冬が楽しくなるような絶品の味をご紹介します。
冬の庄内のおいしいもの、教えてください!
いつ来ても、その時々に応じた季節の庄内の味わいを楽しめる「まごころ茶屋 三代目兵六玉(以下兵六玉)」。酒田の食を知り尽くした店主、白崎さんに冬のうまいものを教えていただきました。
今日のおすすめはこちら!
ポン酢と大根おろしで、ぷちぷち、ちゅるん!ハタハタの湯上げ
ハタハタは、庄内では12月9日の伝統行事「大黒様のお年夜」でも登場する馴染み深いお魚。田楽でいただいて子孫繁栄を願う習慣があります。
酒田ではハタハタ本来の味が味わえる「湯上げ」が一般的で、「ぶりこ」と呼ばれる卵を持っています。しかし庄内以外の人にはなかなか見慣れない、鱗のないハタハタ。どうやって食べるのでしょう?
「頭を抑えて、真ん中の筋に沿って身をほぐしていく。最後に尻尾をもぐと、骨がスッと抜ける」
おお!簡単に身をほぐすことができました。熱々のうちに、ポン酢やだし醤油でいただきます。
ちゅるんとした身に、心地よいぶりこの食感。ぷちぷち、もにゅもにゅと口の中で踊ります。とろみを感じる食感は何匹でも食べられそう!その上高タンパク、低カロリー。
「昔は大量に取れたから、家庭でも鍋にいっぱい入れて湯上げにして腹いっぱい食べた。今はあまり取れなくなっている」と白崎さん。
「ハタハタは、今は魚へんに神とかいて「鰰」ですが、昔は魚へんに雷とかいて「鱩」。庄内は冬の夜によく雷が鳴り、12月ごろに雷が鳴るとハタハタが来る時期になったと楽しみでした。今は高い魚になったので、魚へんに神になったのかな」と笑います。
ハタハタは、10月中頃から楽しめますが、そのことはまだ腹に「子」が入っていないとのこと。その分、脂が乗って、身の味わいが美味しく、湯あげ向きなんだそう。ちなみに、湯あげする際に頭をもぐパターンと頭がついたままにするパターンの2種類があるそうで、兵六玉では頭つきで提供しています。いい出汁の出た茹で汁は美しい白濁色です。
湯あげもよし、焼いても良し、煮付けも田楽味噌も良しなハタハタ、こちらは塩焼き。
旨味がぎゅっと凝縮されてお酒にも合います。
「合わせるなら、ぜひ熱燗。あっさりしすぎない本醸造がおすすめです」
これなくして庄内の冬は語れない!鱈の旨味を余すことなく味わう「どんがら汁」
どんがら汁(荒汁)とは、旬の寒鱈を使い、食感の良い岩のりがトッピングされた酒粕が入ったお味噌汁。
頭や内臓、肝を使うことから「どんがら汁(あら汁)」と呼ばれていますが、地域によって若干の違いがあります。
酒蔵が多いこともあって、酒田では酒粕を入れるそう。捨てるところがない鱈をあらごと全て使うから、臭み消しやこく出しのために、兵六玉では初孫の酒粕を使っています。
どんがら汁を楽しむ寒鱈祭りは、1月下旬から2月上旬にかけて庄内各地で開催されます。冷感の中、商店街のたくさんの露店が並ぶ様子は冬の風物詩です。ぜひ熱々のどんがら汁で冷えた体を温めて楽しんでください。
寒鱈祭りといえば、どんがら汁とセットでおなじみなのが鱈の白子天。庄内地区では鱈の白子は「だだみ」とも呼ばれています。さくっふわっとした食感で、まったりクリーミー。味に癖がないので、パクパク食べてしまいます。上品な抹茶塩も美味しいですが、じゅわっと天つゆでいただくのもまた絶品!旬の時期ならではの、新鮮な生の白子ポン酢もおすすめです。
兵六玉では、酒田寒鱈祭りの日限定で『寒鱈昼定食』を提供する昼営業を行っています。寒鱈汁、小鉢、ムニエル、だだみのポン酢または天ぷら、つや姫のご飯に漬物がついた定食です。おいしい地酒と鱈を満喫できて最高ですね。
山形県内外から多くの人が訪れる寒鱈祭り、どんがら汁だけではもったいない!鱈のおいしさを楽しみ尽くすことができるのはとても良いですね。
注:「日本海寒鱈賞味会」の写真は過去の開催時のもの。内容が変更される可能性がありますので、お調べのうえ、お出かけ下さい。
イカの町 酒田の味!イカゴロ丸焼き
全国でも有数のスルメイカの漁獲量を誇る酒田。こちらは、鮮度が落ちないうちに船上で急速冷凍させる「船凍イカ」を使ったゴロ焼きです。1年を通して食べられますが、2月から3月に出回るものはゴロ(肝)がたくさん入って特に美味しいんだそう。
濃厚でまったりとしたワタをまとった、ぷりぷりのいかは一口食べるとその柔らかさにおどろきます。お酒もご飯も進みますね。漁師飯は肝汁をご飯にかけて食べるそうです。
兵六玉の一番人気!「すんねかじり」とは
すんねかじりとは親鳥の内部位で、兵六玉の名物。人気ナンバーワンメニューです。
すんねは酒田の方言で「切れない、硬い」を意味し、すんねかじりは硬いものを齧る、という意味。「けもすればするほどうまい。仕上げに唐辛子!」と、黄身をほぐしてけもけも(混ぜ混ぜ)していただきます。歯ごたえがたまりません!
地産地消を大切にしているという兵六玉。手造りの自家製豆腐を使った豆腐料理をはじめ、郷土料理のむきそばや弁慶めし等も常時あります。注文に迷ったらぜひ手書きのおすすめボードを見てくださいね。
<データ>
場所名:まごころ茶屋 三代目兵六玉
住所:〒998-0044 山形県酒田市中町2丁目1−9 Map
電話番号:0234-23-568
フリーダイヤル:0120-46-5688
交通:酒田駅から車で5分
営業時間:17時00分~22時30分
定休日:年中無休
駐車場:あり
兵六玉HP:http://www.hyourokudama.co.jp
庄内の冬のうまいをいますぐお取り寄せ!「庄内くう港」冬季限定 おすすめ3選
冬の庄内においしいものを食べに行きたいけど、なかなか行く機会がない…という方に朗報です。「庄内空港 食のセレクトショップ 庄内くう港」でお取り寄せして楽しむことができますよ。
味噌で煮るだけで簡単にどんがら汁を楽しめる「寒鱈鍋セット」は冬季限定!脂ののったタラの濃厚な旨味やふわふわの白子が堪能できるセットです。
こちらは「はららご」とも呼ばれるいくらの醤油漬け。鮭の採捕場があり、まるまるとしたいくらが手に入る庄内。ぷちっ、とろ〜と旨味が広がる絶品いくらは、庄内米と併せてぜひ楽しんでいただきたい一品です。
角餅が多い東北地方ですが、関西との交易があった庄内は丸餅文化。こちらは幻のもち米「女鶴」をバイオ技術で改良した「酒田女鶴」を100%使用したおもち、「仁助屋の酒田女鶴もちセット」です。丸餅に加え、黒豆やごま、よもぎとさまざまな味が楽しめます。
終わりに
いかがでしたか?
米どころならではの豊富な新酒、昔からの知恵が根付くお漬物など、庄内にはまだまだおいしいものがたくさんあります。寒さ厳しい冬ですが、今の時期にしか味わえないグルメをぜひ味わいにいらしてくださいね。
ライター紹介
サトウナナコ
移住したての頃、スーパーのお魚コーナーで、どんがら汁用に1尾まるまるぶつ切りになった鱈のあまりのダイナミックさにぎょぎょっとしたことをしみじみ思い出す庄内2回目の冬です。庄内の冬の味覚で楽しみなものの一つは「青菜漬け」。弁慶飯でもお馴染みのしゃきしゃき食感がたまりません。
※商品・サービスの内容は記事執筆時点のものです。店舗によっては商品・サービスの内容が変更される場合があります。