生まれは庄内でも「オランダ」?
山形県酒田市で超有名なお菓子の工場見学へ

東北のソウルフードとして50年以上も愛され続けている「オランダせんべい」。
販売店が東北にしかないにも関わらず、年間2億枚も生産されています。
そんな「オランダせんべい」の工場が、観光工場として公開中。ロングセラーの薄焼きせんべい。その美味しさの秘密を探りに、酒田米菓の「オランダせんべいFACTORY」に行ってきました。

山形県なのに、なぜオランダなの?


まず誰もが不思議に思うのが、「オランダせんべい」というネーミングでしょう。
「外国生まれのせんべい?」なんて、思ってしまう方もいるかもしれませんね。

実はこれ、「私たち(おらだ)の手によって作られたせんべい」という意味なのです。
「おらだのせんべい」だから、「オランダせんべい」! 

ちょっと無理があるかもしれませんが、昭和37(1962)年の誕生からすでに半世紀以上。テレビCMの効果もあり、東北ではお馴染みのお菓子としてすっかり定着しています。
発祥の地である庄内地方の田園風景が、オランダに似ていたということも、命名の由来だったそうです。

「オランダせんべい」は薄焼きで、軽い食感とサラダ味(塩味)が特長です。では、どうしてこのせんべいは誕生したのでしょうか。

当時、せんべいは厚焼きでしょうゆ味のものが主流でした。でも、厚焼きのせんべいの問題は、何枚か食べるとお腹がいっぱいになってしまうこと。
「それなら、何枚食べても飽きのこない、薄いせんべいを作ればいい」。

そう考えた創業者は、薄焼きのせんべい作りに挑戦します。
しかし、それは簡単ではなく失敗の連続。薄いせんべいを作るには生地が命です。理想の生地を追求した結果、工場は後述するように日本一長いせんべい工場に。そしてついに、厚さ3ミリのさっくり軽いせんべいが完成したのです。

せんべい工場としては日本一の長さ!?


オランダせんべいFACTORY」は、最上川の堤防沿いにある酒田米菓本社最上川工場内にあります。酒田駅から車で10分ほど。工場は酒田市の最上川河川公園と道路を挟んで平行に建っています。

「オランダせんべいFACTORY」の看板を見つけ、車を止めようと駐車場を探してみると、そこからずっと先にあるという案内が。えっ、駐車場だいぶ離れていない?
それもそのはず、せんべい工場としては長さ日本一と言われています。工場全体の長さはなんと545mもあります。なので、駐車場から工場見学の入口までは、車で送迎してもらえるようになっています。

まずは工場見学の受付へ。見学料を払うと「オランダせんべい」2枚とパンフレットをもらいました。
ここでお得情報。後でお土産売り場やカフェで利用できるポイントカード(入会金・年会費・期限なし)をその場で作れば、入場は無料になります! 当然、作りますよねー。

いよいよせんべい工場の内部へ潜入

受付の前にある扉を入り左側を見ると、まず工場見学コースの廊下の長さに圧倒されます。工場見学コースの長さは395m。酒田米菓はせんべいの生地作り、焼成、包装、出荷までの工程を自社工場で行う一貫生産方式を取っているので、せんべい作りの各行程が見学できるのです。
遠くまで伸びる廊下の小窓をのぞいた、モニターに映る映像を見たりすることで、製造工程をかいつまんで知ることができるようになっています。

小窓の脇にはどんなことをしているかの説明板も。歩きながら順番にのぞいていくと、生地を型抜きした後の切れ端も捨てるのではなくまた生地になることや、生地を乾燥させる工程には長さが必要、などということがわかってきます。

飽きのこない仕掛けがいっぱい!

「オランダせんべいFACTORY」では、工場見学コースには3つの展示コーナーがあり、子どもでも飽きずに工場見学が楽しめる仕掛けがいっぱいあります。

1つ目は、お米の歴史やせんべいの豆知識などが楽しく学べるコーナー。このコーナーでは、おせんべいの日本列島事情、いろいろな種類のおせんべいなどを見ているうちに、せんべいの奥の深さが感じられるでしょう。また、以前せんべい作りに使われていた機械設備の展示もあります。

2つ目のコーナーでは、酒田米菓のマスコットキャラクターの「オランダちゃん」とトリック写真を楽しむことができます。

3つ目は、「オランダせんべい」の歴史と美味しさの秘密を公開するコーナー。懐かしのテレビCMやLINEスタンプも紹介。オランダせんべいのすべてがわかります!

3つの展示コーナーを抜けると、焼成と包装の工程が窓越しで見られるようになっています。包装工程では、袋つめ作業の途中で脇に落ちていく袋があるかどうか注目しましょう。X線を通して検査していて、均一になっていない塩の粒子や0.8ミリまでの小さな異物が感知されると、取り除かれているのです。

工場見学の楽しみは「試食」。焼成部のところでは、その日に焼いたせんべいの食べ放題コーナーがあります。
これまで見学した製造工程や展示パネルの内容を振り返って味わえば、美味しさもまた格別でしょう。

工場見学は時間帯と定休日・臨時休業に注意を

工場見学を楽しむのは、午前中がオススメです。時間帯によっては、休憩に入った工程があったり、午後になるとすでに作業が終了していたりということも。特にせんべいを煎る焼成工程は見どころのひとつなので、気をつけたいところです。

GWやお盆休みなどの長期休業中を除き、工場見学は毎週火曜日が定休日になっています。また週の前半は生地部がメンテナンスで動いていない日が多くなっています。念のため、事前にホームページの酒田米菓カレンダー(https://www.sakatabeika.co.jp/calendar/)をチェックしてから行きましょう。

「オランダせんべい」の手焼き体験に挑戦!


工場見学コースを出ると、2階にはカフェ「Café de olá(カフェ デ オラ)」とお土産販売所があります。お土産販売所には試食できる商品もいっぱい!
いろいろな味の「オランダせんべい」や、ここでしか買えない商品、輸出用のせんべいなど、さまざまな商品がズラリと並んでいて、お土産選びも楽しい。ここだけを目的に来る方も多いそうです。

並んでいる「オランダせんべい」は昆布塩味や焼きとうもろこし味、ずんだ味、チーズ味、そして大人の味わいのわさび醤油味、柚子こしょう味などなど、本当に目移りするくらい。おやつはもちろん、お酒との相性もバッチリ。子どもから大人まで、世代を問わず愛され続けているのは、そういったことも理由のひとつなのでしょう。

また、せんべい作り体験の申し込みもできます。
手焼き体験は1セット3枚で400円。焼き網が乗ったコンロの上でせんべい生地を3秒ごと返しながら焼いていきます。
生地にポコっと小さな膨らみができてきて、少しずつきつね色に。程よい焼き色になったら、醤油だれで味付けすることもできますが、1枚は味付けしないでそのまま食べてみるのもいいですね。3枚で物足りなかった場合は、追加で生地をもらうこともできます。

他に、シャカシャカせんべい味付け体験600円もあります。チョコレートやバター醤油、ホタテバターなど、16種類ほどのフレーバーから2種類が選べて、こちらも人気。シャカシャカと振るだけなので、小さな子どもでも楽しめます。

カフェには米粉を使ったパンケーキや醤油味の「鏡せんべい」が添えられたミルクソフトクリーム、「オランダちゃん」ねりきりと抹茶のセットなど、オリジナルメニューが豊富。雑穀ごはんのドリアなど、軽食も楽しめます。

窓際にあるカウンター席からは最上川が望めるので、休憩に利用してみてはいかがでしょうか? カフェやお土産販売所は駐車場側にあり、こちらだけを単独に、入場料なしで利用することもできますよ!

<データ>
【住所】山形県酒田市両羽町2-24 map
【電話】0234-25-0017
【交通】JR羽越本線酒田駅より庄内交通バス(酒田駅前①のりば各方面行)で15分(310円)、学園前下車徒歩6分。または酒田駅よりタクシーで約10分(1590円)
車 山形自動車道酒田ICより車で約5分
【営業時間】工場見学9時~16時(最終入場15時40分)
カフェ 9時~18時(ラストオーダー17時30分)
お土産品販売所 9時~18時
【入場料】一般300円、中高生200円、小学生以下・シニア(65歳以上)無料
【定休日】工場見学/火曜、12月31日、1月1日。臨時休業あり
カフェ・売店/12月31日、1月1日を除き無休。臨時休業あり
【駐車場】普通車40台/無料
https://www.sakatabeika.co.jp/factory/

関連記事

  1. 透明度の高さに感動!
    夏の日本海を 体感する至福のシーカヤック体験

  2. 東京オリンピックで正式種目に採用された
    ボルダリングが道の駅に登場!

  3. 船・食・景色!アクティブに丸ごと楽しむ最上川芭蕉ライン

  4. 日本三大古代布・しな織の里の新体験。シナの花エキスで石けんを作る!

  5. 雑念が消え、体がほぐれていく。
    龍神様を祀る善寳寺で初めての坐禅体験

  6. 夏の感じる鳥海山

  7. 庄内空港から10分、癒しの海と白浜と温泉地 ~湯野浜温泉〜

  8. 冬を満喫!ウィンターワンダーランド庄内

  9. インスタ映えする自分だけの「絵ろうそく」
    を ワンコインで作ってみよう(山形・鶴岡)