酒田の夜は奥が深い!
昭和レトロ居酒屋と ノスタルジア酒場をはしごする

商都として栄えた酒田には、華やかな夜の文化が花開いていたと言われます。
花街こそ姿を消しましたが、今でもその名残を感じる料亭や割烹、居酒屋、酒場が数多く残っています。
そんな酒田の夜を彩る地元でも人気の居酒屋と、ノスタルジアな居心地のいい酒場2軒に出かけてみました。

地元で知らない人はいない「久村の酒場」


酒田の酒飲みでこの居酒屋を知らない人はいない、と言われるほどの超人気店が久村の酒場(くむらのさかば)です。

もともとは慶応3年創業という酒屋さんが、1961(昭和36)年に店の隣で始めたというのがこの酒場。
場所は酒田駅から歩いて20分ほどの寿町の一角。夜の暗い酒田の通りに、そこだけ光がこぼれている。思わず吸い寄せられてしまうような、絵になるたたずまいなのです。

暖簾をくぐり、戸を開けて中に入ってみると、すぐ右手には縦長のコの字型のカウンター。
このカウンターが一等席。午後5時半の開店と同時に、地元の常連さんや観光客でいっぱいになってしまうほどです。この席に座りたいなら、とにかく早く行くことをおススメします。

カウンター席は10席くらい。変わっているのが、テーブルがショーケースになっていて、中につまみや料理が入っていること。これは楽しい! 見比べているうちに、いろいろ食べてみたくなってしまいます。ちなみにこのカウンターは、創業当時のままだとか。

とはいえ、ここは居酒屋さん。メインはお酒。酒屋さんが母体だけに日本酒、それも山形の酒の品ぞろえはなかなかのものです。「初孫」「菊勇」「楯野川」「上喜元」「麓井」などなどと酒田の酒が勢揃い。飲み比べてみたくなりますね。

料理もいろいろ。冬季限定のコロッケを食べたかったのですが、この日はなし。
港町酒田の居酒屋なので刺身や魚料理がいろいろありますが、常連さんの人気は「揚げゲソのセット」。厚揚げとゲソがセットになっていて、日本酒にはピッタリ。
他にも沖ギスのすり身汁、手作り餃子、しめ鯖、ヤリイカなども美味。酒飲みにはたまらない店なのです。「酒場放浪記」で有名な、あの吉田類さんも取材に来たそうです。

カウンターの奥には小上がりが約20席。さらにその奥には大きな座敷が左右にあるので、カウンターにこだわらなければ入れる可能性は大です。
酒や料理の値段もリーズナブルなので、コストパフォーマンスは上々。一人で飲むのもよし、グループで行くのも楽しいでしょう。
ただし、営業時間が午後9時までなので注意してください。

懐かしの名曲を心行くまで堪能できる酒場


さて、久村の酒場で飲んで食べても、まだ時間は午後9時。夜はこれからです。

このあたりはかつての花街や料亭街の近くで、別の記事で紹介した「相馬樓」や「白ばら」も徒歩数分の圏内にあります。

久村の酒場を出たら、右へ行きましょう。亀梅坂という坂を少し上り、二つ目の交差点を左に曲がると「白ばら」のある通りになります。

その通りをぶらぶら歩いていたら、気になる看板を発見。
レコード酒場181」。営業は週末の3日間だけ。開店は午後8時。
うーむ。見るからに怪しい雰囲気です。
これは中に入ってみないといけません。さっそくドアを開けて入店してみました。

入ると、入り口のすぐ左手にEPレコードが1000枚以上も入ったボックス。
壁にはLPレコードが300枚ほど収納されています。
レコードは1960年代から、70年代、80年代初頭までの洋楽が中心ですが、日本の楽曲も多数。そう、この店はお客が選んだレコードを好きなだけ聞くことができる、という酒場なのでした。

どんなレコードがあるのかと探してみると、もう懐かしい曲がてんこ盛り。まさにノスタルジー! どんなレコードかは、店のフェイスブックに逐次あがっているので、ぜひ覗いてみてください。意外な発見があるかもしれません!
https://www.facebook.com/record181/

マスターは依木勝さん(50代)。もともとはまったく別の職業に就いていて、酒場の仕事は初めてなのだとか。グランドオープンは2019年1月。ちなみ「181」は「いっぱい」と読むそうです。

店はカウンターが6席にテーブルが12席と小ぢんまりとした規模。でもだからこそ、アットホームな居心地のいい空間が生まれているのでしょう。

カウンターでウイスキーを飲みながら、1960年代の名曲を聴いていると、いったい今はいつなのか、時間も場所も忘れて聞き惚れてしまいそう。いつまでも余韻にひたりたくなります。

酒田の夜は静かに更けていきます。

<データ>
久村の酒場
【住所】山形県酒田市寿町1-41 map
【電話】0234-24-1935
【交通】JR羽越本線酒田駅より徒歩20分またはタクシーで約5分(690円)
または酒田駅から庄内交通 酒田市内廻りAコースバス等5分(210円)、寿町下車徒歩2分
【営業時間】午後5時半〜午後9時
【定休日】日曜日(月曜も不定休あり)

レコード酒場181
【住所】山形県酒田市日吉町2-6-5 map
【電話】090-1498-1771
【交通】JR羽越本線 酒田駅から徒歩約23分またはタクシーで約7分(780円)
または酒田駅から庄内交通 酒田市内廻りAコースバス等5分(210円)、寿町下車徒歩5分
【営業時間】午後7時半〜午前1時
【営業日】木曜日、金曜日、土曜日(2019年8月からは日曜日以外は営業の予定)

関連記事

  1. どんがら汁だけじゃない!庄内の冬の味覚に舌鼓

  2. 復活した昭和の名キャバレーが山形県酒田市にあり。
    豪華ステージで歌えば「白ばら、最高!」

  3. 笑顔の幸子さん

    鶴岡のHome Sweet Home「幸子のお茶漬け」

  4. 鈴政の大将

    酒田の寿司屋はここに行け!酒田で愛され続ける寿司割烹 「鈴政」