復活した昭和の名キャバレーが山形県酒田市にあり。
豪華ステージで歌えば「白ばら、最高!」

高度成長期の1960〜1970年頃に流行し、昭和を代表するナイトスポットだったキャバレーも、現在では本当に珍しくなりました。1970年代には約90人のホステスが在籍し、27あるボックス席は連日満員だった酒田の名キャバレー「白ばら」も、2015年12月30日に惜しまれつつ閉店。ですが、昭和の大衆文化遺産「白ばら」を後世に残そうと地元の有志が中心となって立ち上がり、現在営業を再開しています。
昭和に隆盛した夜の大人の社交場とはどんな空間なのか、ワクワクしながら行ってみると、キャバレーに対して抱いていたイメージが一新しました。ローズ姉さん、最高です!

古き良き昭和の雰囲気漂うキャバレーの魅力とは?


キャバレーとは、ホステスさんとの会話を楽しみながら、ダンサーや歌手などのショーを観たり、ダンスを楽しんだりできる大型の飲食施設。
酒田市の「白ばら」も、かつては昭和の歌謡史に名を刻んだ歌手たちがステージに登場したという名門店でした。入り口脇の壁には、そのスターたちのサインが今も飾られています。

とはいえ、キャバレーと聞くと、ちょっと怖いイメージも。夜の大人の社交場としてのダークなイメージや、その世界の人たちの集まる場所といったハードルの高さを感じる人も少なくないでしょう。

「白ばら」を復活させた白ばら友社代表社員の佐藤仁さん(現オーナー)も、そのひとりでした。知人に誘われ、怖いもの見たさで初めて訪れてみたのは、閉店する2年前のことだったそうです。

築約60年という建物の外観は朽ち果て気味で、少し不気味な気もしましたが、中に入ると「華やかな南国の世界が広がっていました」と佐藤さん。
高い天井にはアール・デコ調のシャンデリアがぶら下がり、格調高い調度品が置かれ、ソファーはビロード張り。
そして、電飾がきらびやかなステージやヤシの木などの装飾が目に飛び込み、佐藤さんもすぐに、この昭和の艶やかさが残る空間の虜になったと言います。

有名な歌手が立ったステージでカラオケを熱唱


2015年の暮れに閉店した「白ばら」でしたが、このまま朽ちさせるのは惜しい! という声が地元の人たちの間で起こり、復活の運動が始まりました。しかし、再興への道のりには、数々の試練があったと佐藤さんは言います。
「まるで、ローズ姉さんから、この店を続ける覚悟を持っているのかと試されているように、次々と試練が訪れました」。

集客はもちろん、店内のカビ臭さ、消防設備の整備、雨漏りがする天井の修繕など、課題を克服しては生まれてくる課題の繰り返し。
それでも困難を乗り越え、クラウドファンディングにも挑戦し、目標金額の350万円を達成しました。そのおかげで「白ばら」は奇跡の復活を遂げることができたのです。

昭和のスターたちがステージに立っていた頃は生バンドの演奏でしたが、今ではプロのコンサートでも使用されているのと同じ音響を備え、伝説の豪華ステージでカラオケを楽しむことができます。

素人でも、大きなステージに立って、ライトを浴びながら歌手気分を味わえます。これが実に気持ちいい!
歌い終わったら、ぜひ「白ばら!」とかけ声をかけてください。そうすると、スタッフとフロア内にいる客が「最高!」と続けます。
佐藤さん曰く、「そう言うと、ローズ姉さんが喜ぶんです」。ローズ姉さんに、まだまだ現役でいてほしいと願う気持ちを込め、一緒にエールを送ってみてはいかがでしょう。

地元の有志が惚れ込んだローズ姉さんの正体とは


さて、お気付きの方もいると思いますが、文中にたびたび登場したローズ姉さんは、人間ではありません。いわば、「白ばら」という存在そのもの。その空間に温もりを感じ、まるでローズ姉さんという精霊が本当にいると思えてしまうかもしれません。元ホステスのスタッフに、そのイメージを重ねる人もいるでしょう。

入口に置かれているモニターでは、ローズ姉さんをイメージして撮影された動画を見ることができます。
復活した「白ばら」は女性にも好評で、子どもも入店できます。もしかしたら、いろいろな人と一緒に楽しみたいと、ローズ姉さんの包容力がパワーアップしているのかもしれません。

「白ばら」の料金は大衆的でリーズナブルです。システムは2時間飲み放題(焼酎またはウイスキー)・カラオケ歌い放題で1人3,000円。営業は今のところ水曜・金曜・土曜の週3日ですが、イベントも開催されています。
(イベントの営業開催日時・料金はFacebookで要確認)

店には佐藤さんや全盛期の「白ばら」で活躍した元ホステスさんもいます。そんな佐藤さんやスタッフから聞ける苦労話も、復活を遂げた今では、お酒の美味しいつまみになるでしょう。そして、有志たちが持つ「白ばら」と酒田への深い愛情を感じることができます。

酒田の夜は、キャバレーという空間の豪華な舞台でカラオケが歌える「白ばら」で、ぜひ楽しんでみてはいかがでしょうか?

<DATA>
住所 山形県酒田市日吉町2丁目5-3 map
電話 0234-23-2450
交通 JR羽越本線 酒田駅から徒歩約23分またはタクシーで約7分(780円)
または酒田駅から庄内交通 酒田市内廻りAコースバス等5分(210円)、寿町下車徒歩5分
営業時間 19時〜0時
営業日 水曜、金曜、土曜
駐車場 なし
「Night Spot 白ばら」イベント情報
https://www.facebook.com/Shirobara468/

関連記事

  1. 酒田の夜は奥が深い!
    昭和レトロ居酒屋と ノスタルジア酒場をはしごする

  2. 笑顔の幸子さん

    鶴岡のHome Sweet Home「幸子のお茶漬け」

  3. 鈴政の大将

    酒田の寿司屋はここに行け!酒田で愛され続ける寿司割烹 「鈴政」

  4. どんがら汁だけじゃない!庄内の冬の味覚に舌鼓