庭の美しい玉川寺で坐禅や写経を体験し、
抹茶と和菓子で贅沢な時間を

羽黒山の麓にある玉川寺には、全国でも珍しい九輪草の純群落があり、ツツジやカエデなど四季折々の草花が咲くことから、「花の寺」と呼ばれています。
美しい庭園の脇で坐禅や写経、そしてお抹茶と和菓子をいただきながら、静かな時間を過ごしましょう。

珍しい九輪草の群落のある“花の寺”

大鳥居の手前を右手に入り、雄大な月山を正面に見ながら集落に入っていくと、朱色の橋のかかった川から、爽やかな水の流れる音が聞こえてきました。
青々とした竹林の緑色がとても涼しげです。

国見山玉川寺(ぎょくせんじ)は鎌倉時代の建長3(1251)年に、曹洞宗の開祖で道元禅師の高弟だった了然法明禅師によって開山されたと伝えられています。

室町時代の1450年代に作庭された庭園は、江戸時代の1650年代の改修を経て、今も昔と変らない美しい庭園を保っています。
そして、1987年には国の文化財「名勝」に指定されました。

花の寺としても親しまれている玉川寺は、毎年5月中頃には白や薄いピンク、濃いピンクの「九輪草」が咲き乱れますが、この花の名前の由来は、花の重なりが五重の塔の九輪に似ていることから。
九輪草の純群落は全国でも珍しく、見頃の時期は特に多くの人が寺を訪れるのだそうです。

訪れた日の池には、梅雨の間に花が咲くという桃色のスイレンの花が咲いていました。
春はサクラ、初夏はツツジ、九輪草、ハナショウブ、秋にはハギやシュウメイギクの花を見ることができ、お寺の中にもさりげなく花が活けてあります。

庭を眺めながら、ゆっくり心を調える

このお寺で見応えのあるものは、花だけではありません。
住職の方が、庭そのものを見ていただきたいと話される通り、ここは庭の造りが特別なのです。

当時から変らない石組みがそのまま残り、よく見ると水面は地面よりも少し高くなっていて、今の庭師さんには難しいとても複雑な技術なのだそう。

この庭の造りは池泉回遊式蓬莢庭園と呼ばれ、大きな池が中心となって、その周りに周路が巡らされています。

園内を回遊しながら眺める庭園と聞き、庭を散策してみました。歩きながら庭を眺めると、それぞれに異なる庭の景色が楽しめます。高低差もあるので、高い所から庭全体を眺めるのは圧巻!

お庭を歩いた後は、お抹茶をいただきました。季節に合わせた和菓子も付いてきます。この和菓子は鶴岡市内にある老舗のお店のもので、色も形もとても繊細。夏の間や暑い日には、冷抹茶をお願いすることもできます。ガラスの夏茶碗でいただく冷抹茶はとても涼しげで、一瞬夏の暑さを忘れさせてくれました。

器のいくつかは地元の陶芸家さんがつくられたもの。器の感触をじっくりと手の中で感じながら飲む抹茶は格別です!

住職さんが丁寧に教えてくれる坐禅と写経

こちらのお寺では、坐禅を行なうこともできます。

物事の本質を考え、それに対応していく心を調えるのが禅で、坐ることでさらに心身両方の安定を図るのが坐禅と言われているそうです。
作法はそれぞれの宗派によって異なりますが、曹洞宗では無心で自分の呼吸だけに集中するのがポイントなのだそう。

息を吸って吐くという、ただそれだけのことに集中して、20、30分の時間があっという間に過ぎていきます。
坐禅というと、後ろから肩を叩かれるイメージがありますが、曹洞宗では叩くことはないそうです。何もせずにただ執着心をとることが大切なのだとか。

玉川寺では定期的に朝坐禅を行なっていて、坐禅の後は、参加者全員で精進料理をいただくのだそうです! 玄米入りお粥に漬け物、ごま塩、季節の野菜を使ったおかずがついてきます。朝の坐禅の後にいただくご飯は格別で、朝に坐禅をすることですっきりして一日を始めることができそうです。

坐禅以外にも、写経を体験することができると聞き、今回は写経を体験させてもらうことにしました。

無心になって集中することは写経も坐禅と一緒。ただただ、般若心経を書き写していきます。
習字に慣れていない人は、すらすらと書けるようになるまでに少し時間がかかると言われましたが、書き写すという目的がある分、坐禅よりも無心になれるのかもしれません。最初は戸惑いましたが、すぐに慣れて書けるようになりました。

お寺はとても静かで、庭を前に坐っているだけで自然と心が落ち着いていきます。写経に集中して書き終わった後は、気分がとてもすっきりと晴れやか!

なかなか自分一人では始められない坐禅や写経。住職さんが禅の心と一緒に丁寧に話をしてくれるので、抵抗なく始めることができます。

心の安らぎを感じ、気持ちを落ち着かせる時間。それは自分の修行、そのものなのかもしれません。自分で喜びを見つけることが大切だと住職さんに教わりました。

坐禅も写経も、個人や団体向けに対応できるということで、個別にご相談くださいとのこと。
庭をゆっくりと歩きながら眺めるのも、庭を前にお抹茶をいただくだけでも格別なひとときですが、坐禅や写経も行なって禅の心を感じてみるのはいかがでしょうか?

<データ>
【住所】山形県鶴岡市羽黒町玉川35 map
【電話】0235-62-2746
【交通】JR羽越本線鶴岡駅より庄内交通バス羽黒山頂方面行きで約30分(670円)、大鳥居下車徒歩15分
【拝観料】大人 400円 / 小中学生 200円
【抹茶(生菓子付)】500円
【定例座禅会】 会員500円 会員以外1000円(要申込)
【写経】筆は500円で購入可。料金や日程等は要問合わせ
【駐車場】あり(20台)/無料

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