無農薬、そして在来作物。ほぼ野菜レストラン「土遊農」の絶品ランチ!

在来作物(在来野菜)とは、約50年前まで日本各地で当たり前に食べられていた、次の世代に種をつなぐことのできる野菜。
全国各地で代々守られてきた在来作物の種を預かり、完全無農薬で約500種類もの野菜を育てている、まるで野菜のミュージアムのようなビニールハウスが庄内にあります。そこに併設されたレストランに、絶品のランチがありました!

野菜のエネルギーをチャージしよう!

鶴岡市内から羽黒山のシンボルの大きな鳥居を目指して車を走らせると、大きなビニールハウスと青い壁のレストランが見えてきました。

レストランの名は「ベジタイムレストラン 土遊農 〜Do you know?〜」。
駐車場に入ると、看板には「ほぼ野菜レストラン」の大きな文字が。「ほぼ」野菜ってどういうことだろうと疑問に思いながらレストランに向かおうとすると、入口が見当たりません。
レストランへは、ビニールハウスの中を通って向かうようになっているようです。

ビニールハウスの入口には、種や苗がたくさんありました。
全国から集められた種は800種類以上にもなるそう! ビニールハウスの先では、野菜たちがぐんぐんと育っています。

現在、市場に出回る野菜のほとんどは、「F1雑種」と呼ばれる、種をつなぐことができない一代かぎりの野菜たち。
在来作物とは、多様性に満ち、次の世代に種をつなぐことのできる野菜なのです。

オーナーの山澤清さんは、約40年前に「ハーブ研究所スパール」を設立しました。完全無農薬のオーガニック農法で無添加ハーブを育て、オーガニック商品を開発。そこで確立した有機循環農法を使い、庄内の地で、農薬や化学肥料を使わずに全国各地の在来作物を育てています。

山澤さんが、全国各地の在来作物のリストを見せてくれました。こんなに多くの種類の在来作物があるのか! と驚かされます。

そして、なぜ「ほぼ」野菜レストランと看板に書かれているのか伺うと、「ここでは味噌と醤油を使うから。どちらも原料は大豆だけど、味噌も醤油も菌が入って発酵しているから、もう野菜じゃないの。僕はバクテリアを野菜とは呼ばないの」と山澤さん。

レストランでは、肉、魚、乳製品など、動物性の食品は使われていません。
まさに野菜だけをじっくりと味わう場所。
「ゆっくり楽しんできてねー!」と笑顔で送り出してもらい、レストランへ向かいました。

ランチメニューはこだわりのワンプレート

レストランは庄内を代表するレストラン、アルケッチャーノのオーナーシェフ、奥田雅行シェフとの共同経営です。

ランチメニューは1種類のみの前払い制で、男性は2200円で女性は2000円。
なぜ男女で値段が違うのか伺ってみると、男性用には特別にフレッシュなハーブが配合されているそう。

レストランの大きな窓からは隣のハウスの緑がまぶしく見えます。
カーテンに使われているのは、蚕が一番最初に吐き出す糸「きびそ」なのだとか。

厨房では女性スタッフの方たちが色とりどりの野菜を調理しています。
その日に採れる野菜が毎日違うので、メニューも変わり、山澤さんが監修されてスタッフの方が調理されるのだそうです。

レストランで提供される野菜はすべて、無農薬の在来作物。ビニールハウスで採れたものか、近くの農家さんで作られたものが運ばれてくるそうです。

テーブルの上には、今日、使われている野菜の名前が書いてあります。その数はなんと30〜40種類!
なすやきゅうりなどは、それぞれ何種類もあるようです。

スーパーでは、きゅうりは「きゅうり」と書かれ、1種類しか見かけませんが、野菜にはそもそもこんなに種類があるのです。

『「滋味」と「桂味」をゆっくり味わいください』と書かれた紙には、滋味とは、身体で感じる味で身体にじんわりとエネルギーがいきわたるような味わいで、桂味とは心で感じる味、味わっている本人だけが知る味と書かれています。
じっくりと味わってみましょう!

味に深みと重みのある野菜たち

最初にショットグラスで運ばれてきたのは、「伝承種野菜のしずく」という、水を加えずに作られた澄んだ色の爽やかなスープ。

植物が土壌から吸い上げた水分だけでできており、原料のトマト、なす、きゅうりのすべての味を感じられるように、「地球を飲む」イメージで実験に実験を重ねられたそうです。
みずみずしく、優しい美味しさで、身体にしみわたります。

次に運ばれてきたスープは、自己主張に溢れたとても力強いもの。野菜のえぐ味がそのままで、野菜本来の味は、苦かったり、辛かったり、こういうものなのだなと思い出させてくれます。

そして、メインのプレートには乗り切らないほどの野菜が! もち米「ヒメノモチ」の玄米を取り囲むように、火の入れ方や味付けなど、それぞれの野菜に合わせ最適な方法で調理されているそうです。

お料理の後半に出されるお茶は桑の茶葉。
蚕が食べる桑の葉を焙煎してお茶にしたもので、食物繊維が多く含まれていて、血糖値の抑制・貧血予防・利尿作用の成分も含まれているお茶です。
最後にはデザートの用意も!

野菜不足を感じたり、生命力のある野菜を食べたかったりしたときには、ぜひ訪れてみてください!

<データ>
ベジタイムレストラン 土遊農 〜Do you know?〜 map
【住所】山形県鶴岡市羽黒町市野山字山王林121-1
【電話】0235-33-8310
【交通】JR羽越本線鶴岡駅から庄内交通バス羽黒山頂行きで28分(650円)、石の館サンロード前下車徒歩4分。庄内空港から車で約30分。
【営業時間】11時:30分〜16時
【定休日】木曜日 ※不定休もあるので事前に要確認
【ランチメニュー料金】男性2200円 女性2000円(税込)
【メール】doyouknow8310@gmail.com

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