世界的な建築家が設計した山形・鶴岡の水田に
浮かぶホテルのライブラリーで読書三昧

特に有名な観光地でもない、ごく普通の田舎の田園地帯に新しくホテルが登場。
このホテル、水田に浮かんだように見える景観と世界的な建築家の手になる木造建築が売りなのですが、実はもう一つの魅力が個性的なライブラリー。
最先端の感覚に満ちたホテルで、おしゃれに読書三昧を楽しんでみてはどうでしょう。

田園風景を生かした芸術的なホテル


おいしい庄内空港から車で約20分、のどかな水田地帯に、2018年9月、「SHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSE(ショウナイホテル・スイデンテラス)」がオープンしました。まるで水田に浮かんだように見えることから、”水田ホテル”として話題になっています。

設計したのは世界的な建築家の坂茂(ばん・しげる)さん。
坂さんは、2014年に「建築界のノーベル賞」とも言われるアメリカのプリツカー賞(※)を受賞した世界的な建築家です。
海上輸送用のコンテナを市松模様のように積み上げた宮城県女川町の「コンテナ多層仮設住宅」や、ニュージーランドのクライストチャーチにある仮設大聖堂「紙の大聖堂」などを手掛けたほか、災害が起こった地域の避難所へ行っては紙管の枠組みと布を使った間仕切りを造るなど、長年に渡り被災地の支援活動も行なっています。
「SHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSE」は、そんな坂さんが設計したはじめてのホテルです。

※アメリカの資産家・プリツカー一族が運営するハイアット財団が世界の優れた建築家に対して贈る賞(1979年創設)。坂さんは日本人で7人目の受賞者。

坂さんは水田から着想を得て、このホテルを設計しました。建築にあたり、田園風景を生かすことを絶対条件とし、その景色に溶け込むよう木造2階建ての低層にしたと言います。

思わず写真に撮りたくなる建物


ホテルは、水田状に区画された池に囲まれています。その水面には周辺の景色や空が映り、見る角度や時間帯、季節によってさまざまな絶景を楽しむことができます。水田に浮かぶようにも見えれば、天空のホテルのようにも姿を変えます。これがとにかく美しいんです。

冬には周囲の田んぼに白鳥も飛来し、ホテルの周りを飛び交うことも。美しい木造建築物と田園、自然との調和が見事で、外観を眺めただけでも建物に芸術性を感じられます。カメラを持ち歩いていれば、間違いなく写真に収めたくなる風景に出会えるでしょう。写真に撮って、きっと誰かに見せたくなるはずです。

デザインテーマは「水田と木造建築の調和を図る」。道路からホテルへのアプローチは稲刈りの時期に見られる「はざ木」をイメージさせるデザインになっています。これもおしゃれ!
ちなみに池の水は、水冷ヒートポンプ・エアコンに利用している地下水。機能性と快適性を備えたデザインになっています。

お気に入りの本を手に気ままな読書タイム

ホテルの共有部分は、すべて一般開放されています。
1階は「地元の人にも活用して欲しい」との思いから、あえて何もないオープンスペースにしていて、地元の人たちのマルシェやポップアップショップなどが登場する計画も。

2階がメインフロア。地元クラフト作家の作品や地酒・絶品おつまみなどが並ぶショップ、地産地消と良質素材にこだわったレストラン・バー、ビジネスルーム、そしてこのホテルの売りである、1000冊もの本が並ぶ大きなライブラリーがあります。
ライブラリーの本は、「オトナもコドモ コドモもオトナ」をテーマに、ブックディレクターの幅允孝(はば よしたか)さんがセレクトしたもの。

本は館内のどこで読んでもOK。宿泊者ならお部屋に持ち込んでのんびりと、レストラン利用者ならお茶を飲みながらゆったりと、水田を望むウッドデッキのテラスやロビーのイスで気兼ねなくなど、好みの場所を見つけて読書を楽しめます。午後のひと時、お気に入りの写真集や小説を手に気ままな読書なんて、あこがれのシーンですね。

「自分を大きく見せることなく、相手を小さく見ることなく。この街に暮らす人、この街を訪れる人、みんなが等身大に出会えることを願い、オトナが自分の素に戻れるような本をセレクトしています。本は施設内であればどの場所でも自由に閲覧いただけます。大切にお読みください」(ホテル公式HPより)。

そのままの庄内の魅力でゲストをもてなす


「SHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSE」のコンセプトは、「自然体で過ごす交流と滞在の拠点」。ホテルを開業したヤマガタデザイン株式会社は、坂さんがよく話す「建築は、一部の限られた人々のためのものではなく、地域や社会のもの」という考えに共感し、デザインをお願いしたと言います。

坂さんがデザインしたのは、そのままの庄内の魅力でゲストをもてなす空間。地元の人たちが日常では気づかなかった庄内の魅力を、見事に観光資源へと昇華させています。
坂さんが設計・デザインしたホテルは、建築物としての見どころもいっぱいありますが、その奥にある思いを考えながら見れば、また違ったホテル滞在が楽しめそうです。

客室数は143室で、木造ホテルとしては日本最大級。客室タイプはダブル・ツインを中心に、トリプルや団体利用可能なグループ、そしてスイートがあります。

宿泊料はダブルのスタンダードプラン2名利用で1名6,667円〜(インターネット料金・食事なし・消費税別)とリーズナブル。子どもの添い寝も1名まで可能で、川の字になって家族で寝ることもできます。その他、食事条件やお部屋タイプなどが異なるプランも。人気のスイデンビュー確約プランもあるので、ホテルの公式HPで確認を。宿泊者は地下1,200mから汲みあげている源泉100%掛け流しの温泉やフィットネスクラブも利用可能です。

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住所 山形県鶴岡市北京田字下鳥ノ巣23-1 map
電話 050-1745-9721(予約/10時〜22時)
交通 JR羽越本線 鶴岡駅からタクシーで5分(690円)。
または庄内空港より庄内交通 空港連絡バス鶴岡市内行で20分(700円)、サイエンスパーク下車すぐ
チェックイン/アウト 15時30分~24時/5時〜10時
定休日 無休
駐車場 150台(無料)
公式HP https://suiden-terrasse.yamagata-design.com/

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