「だだちゃ豆」は鶴岡の限られた地域でしか作れない幻の枝豆だった!? 

夏といえばビール! ビールといえば枝豆! 
この季節、庄内を訪れた人は、地元産の枝豆のおいしさに必ずびっくりします。
「私が今まで食べていた物はなんだったのだろう?」
そんな感想を聞いたことも、一度や二度ではありません。
「米どころ」や「フルーツ王国」として有名な山形県ですが、実は豆の名産地でもあることは意外と知られていません。
山形県の枝豆の中でも、とくに有名なのが「だだちゃ豆」! 今回は、鶴岡地域でしか作ることのできない特産品、だだちゃ豆について紹介します。

だだちゃ豆は鶴岡地域に伝わる“幻の豆” 

山形県鶴岡市は、月山や鳥海山など出羽三山を背景に、広大な田んぼの風景が広がる農業地帯です。
日本海にも面しているので漁業や交易も昔から盛んで、食も、文化も、ゆたかに栄えた歴史ある城下町です。
そんな鶴岡に江戸時代から伝えられてきたのが、だだちゃ豆。だだちゃ豆は鶴岡地域の伝統野菜です。

伝統野菜というのは、地域の人たちが、代々ご先祖様から大切にその種を受け継ぎ、大切に守ってきた農作物のこと。
長い年月をかけて、その土地の土質や気候、栽培方法などに馴染んできた独自の品種のため、作る場所をかえるとまるで育たなくなってしまいます。

山形県には150を超える伝統野菜があるといわれていて、だだちゃ豆もその一つ。
実はだだちゃ豆は、JA鶴岡が商標使用権を得てブランドの管理をしており、鶴岡地域でしか作ることのできない“幻の豆”なのです。

「だだちゃ」とは、庄内の方言で「おとうちゃん」という意味だそうです。
江戸時代、お殿様に献上した際に、あまりのおいしさから「これはどこのだだちゃ(おとうちゃん)の豆か?」とお尋ねになったのが由来だとか。
豆を作ったおとうちゃんのことが気になってしまうくらい、おいしかったんですね!

自然のものとは思えない甘み


枝豆といえば、みなさん、目に鮮やかな緑色のさやを思い浮かべるかと思います。
ですが、だだちゃ豆のさやはやや茶色がかった産毛に覆われています。
さやの上からでもわかる丸まるとした中身は、今にも自分から飛び出してきそうなほどによくふくらんでいます。

だだちゃ豆は、産地と生産者を選ぶ作物です。
しかも、収穫時期は7月下旬から9月中旬ころまで。鮮度が落ちるのも早く、収穫したらすぐに食べなければなりません。
食べられる時期が短いというのも、“幻”といわれる理由のようです。

さて、気になるだだちゃ豆の味ですが、一言でいえば、初めて食べた人が目玉を飛び出させるくらいの味です。

だだちゃ豆の香りと味、特に甘みは格別です。
自然のものとは思えないほどの濃さが口の中に広がり、みっちり実の詰まったさやに伸びる手が最後まで止まらなくなってしまいます。

食べたときの予想を裏切る風味が、いつまでも記憶に残り、その後どこかで別の枝豆を食べるたびに、鶴岡で食べただだちゃ豆の味と比べてしまうことになります。

少し大げさなようですが、それほど大げさでもないんです。
だだちゃ豆に限らず、とれたての旬の野菜は、それくらい味が違うものなのですね。

枝豆とだだちゃ豆って何が違うの?


ところで、あくまで個人的な印象ですが、鶴岡には、だだちゃ豆を枝豆と呼ぶ人がいないような気がします。

もしかすると、だだちゃ豆は枝豆ではないのでしょうか。

そこで調べてみました。するとどうやら、一般的に枝豆というのは豆がまだ青く未成熟のうちに食べるものを言うようで、完熟すると大豆になるんだそうです!
枝豆って、大豆だったんですね。

山形県内にはたくさんの豆の種類があって、その中にはまだあまり世に出ていない伝統野菜の豆も多く受け継がれています。
「伝統野菜の〇〇豆を枝豆で食べるとおいしいよ」といって、貴重な自家栽培の豆を分けてくれた農家さんもいました。

山形県の農家さんは、豆に対する愛情やプライドを強くもっているんでしょうね。

「だだちゃ豆はだだちゃ豆だァ。枝豆、ンね(枝豆じゃない)」そんな声が聞こえてきそうです。

鮮度が命のだだちゃ豆を旬の産地から直送

だだちゃ豆は鮮度が命です。

JA鶴岡の「だだちゃ豆データブック」によると、枝豆は暑さに弱く、炎天下で収穫すると豆が熱をもって蒸れて腐ってしまうため、午前10時から午後3時の間は収穫しないそうです。

「新鮮さを保つために収穫したらすぐ作業場に運び、枝からさやを取ります。その後ひとさやずつ選別・袋詰めして保冷庫に入れて保管し、朝採りのものはその日のうちに出荷。出荷場でも保冷庫に入れ、出荷のトラックも保冷車と、しっかり温度管理」して、消費者の元に届けられるようになっているそうです。

世の中で一番ぜいたくな食べ方は、夜明けに収穫したものをすぐに茹で、早いうちにばくばくと惜しみなく食べきること。でも、これは簡単にはできませんね。

夏の農繁期には、庄内のいたるところに朝市が出ています。中にはだだちゃ豆を試食用に茹でてもってきてくれるおかあさんもいます。
朝市ではなくても、市内の産直やスーパーで売られていますし、飲食店でも出してくれるでしょう。夏の庄内に来たら、まず味わってほしい地元グルメのひとつです。

とはいえ、旬の季節に庄内に行く機会がないという方には、朝採りのだだちゃ豆が、いつでもどこでも味わえるクール便の産直パックとなって販売されています。

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有機質肥料中心の減農薬栽培で育てられた、鶴岡地域の伝統野菜「殿様のだだちゃ豆」は夏季限定の人気商品です。ぜひご賞味ください!

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